研究課題
腸管免疫系において炎症反応を司ると考えられる新たなCD4^+TサブセットであるTh17細胞の存在が明らかになったが、その分化や機能に関しては不明な点が多い。我々はまず、in vitroにおけるTh17細胞の分化におけるPI3Kの役割について検討した。PI3Kの制御サブユニットであるp85αを欠損する(KO)マウスあるいはコントロール(HT)マウスからナイーブCD4^+T細胞を単離し、これにIL-6、TGFβ、IL-21、IL-23を加えて3、4日培養してTh17細胞に分化させ、回収して再刺激の後に産生されるTh17細胞の割合をフローサイトメーターにより、また産生されるIL-17Aのタンパク量をELSAにて測定した。するとKO由来細胞ではコントロールに比べてTh17細胞の割合及びIL-17A産生量が有意に減少していた。また、HT由来細胞をTh17細胞に分化させる際に、PI3K特異的阻害剤を加えた場合にも、同様の結果が得られた。すなわち、PI3KがTh17細胞の分化を正に制御している可能性が示された。Th17細胞の分化にはSTAT3の活性化が重要であるため、次にSTAT3のリン酸化についてPI3Kの関与を検討した。しかし、KO由来細胞あるいはPI3K阻害剤を使用した場合であってもHT由来細胞と同程度のリン酸化が見られ、STAT3のリン酸化に関与しないことが示唆された。更に分化に必要とされるRORγtの遺伝子発現をRT-PCRで確認したが発現量に差がなく、PI3Kが関与しないと考えられた。以上より、PI3KはSTAT3-RoRγt経路を直接的に抑制しないことが示された。すなわし、PI3Kはこの経路へ間接的に関与することが示唆された。
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