研究概要 |
自己の死細胞を貪食した抗原提示細胞は、死細胞由来の自己抗原を提示して、自己反応性T細胞にanergyあるいはdeletionを誘導している。経静脈的に投与した死細胞は、脾臓辺縁帯に集積し、同部位に局在する二種類のマクロファージにより貪食される。我々は以前にこれらのマクロファージを誘導的に欠損できるマウス(CD169-DTRマウス)を作製し、当該マクロファージによる死細胞貪食が付随抗原に対する寛容誘導に必須であることを示した。さらに我々は、辺縁帯に局在する、CD8^+, CD103^+, CD207^+樹状細胞サブセットを同定し、この細胞が死細胞付随抗原の提示を担当していることを示した。このように辺縁帯には、役割の異なる食細胞が局在し、協調的に免疫寛容を誘導していると考えられる。一般に死細胞を貪食したマクロファージは、免疫抑制機能を有すると考えられている。したがって上記死細胞投与による寛容誘導実験系においても、辺縁帯マクロファージによる間接的な寛容誘導制御が想定される。我々は最近、CD169-DTRマウスを用いた解析により、辺縁帯マクロファージ欠損状態のマウスにLPSを投与すると、血清中のIFN_γ濃度が異常高値を示すことを見出した。辺縁帯マクロファージ欠損状態のマウスより調製した脾臓細胞にin vitroでLPS刺激をすると、やはり培養上清中のIFN_γ濃度が高値を示すことから、辺縁帯マクロファージがLPS刺激による炎症反応あるいはT細胞活性化に対して何らかの制御機構を有していることが想定された。
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