研究課題
本研究は、免疫不全患者に対し、人工胸腺を構築することによりT細胞の再生を促進するという治療戦略の基盤となる技術の開発を目的とする。人工胸腺のもとになる細胞としてES細胞を用いることを計画している。胸腺上皮細胞が生成したことを可視化するために、Foxn1プロモーターの下流にCre蛋白が発現するような遺伝子コンストラクトと、Creが発現するとLoxサイトで遺伝子組み換えが起こってGFPが発現するような遺伝子コンストラクトをともに有したES細胞(Foxn1-Cre-Lox-GFP-ES細胞)を材料とする。このES細胞では、胸腺上皮細胞が誘導されると、GFP陽性になることが期待される。本年度は、Foxn1 -Cre-Lox-GFP-ES細胞を用いて、まず内胚葉系細胞の誘導を試みた。分化誘導法は、神戸CDBの西川研で樹立された方法に準拠した。内胚葉系細胞の誘導はCXCR4の発現などで確認した。単に内胚葉系細胞を誘導しただけではGFP陽性細胞は出現しなかったため、Wnt、BMP4などを添加して分化誘導をかけてみたが、現在のところはGFP陽性細胞の誘導には成功していない。次年度はさらなる条件検討を加えることと、Foxn1の強制発現などを試みる。また、胸腺上皮細胞への分化をさらに感度よく可視化できる方法として、Foxn1プロモーター下に直接GFPを発現するマウス(Boehm、Max-Planck研)を入手し、そのマウスからES細胞を作製した。次年度はこの細胞を主に用いて分化誘導を試みる。
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