・APO1はシロイヌナズナUFOのオーソログで、Fボックスタンパク質をコードする(lkeda et. al.2007)。ところが、APO1の機能はUFOやそのオーソログとは逆であり、APO1は花メリステムへの転換を抑制する。劣性apo1変異体、APO1発現量が増加した優性変異体(apo1-D)および過剰発現体の解析から、花メリステムへの転換の抑制がAPO1の発現量に依存することを明らかにした。イネでは、生殖成長期に急激にメリステムのサイズが増加するが、このサイズ増加と細胞数増加程度が、APO1発現量に依存することがわかった。このことから、APO1はメリステムでの細胞増殖に関わる機能を果たすこと、また細胞増殖とメリステムの相転換の関係が示唆された。APO1の下流で働く遺伝子の単離に向けて、誘導型APO1 : GRをイネに導入し、解析に用いる系統を選抜した。 ・log変異体では胚発生初期からSAMが小さいことを観察し、胚発生時のSAM形成においてサイトカイニンが必要であることを示した。さらに、LOGを構成的に過剰発現すると胚発生時に複数のSAMが分化することを見出した。この現象を詳細に観察したところ、SAM分化が開始する受精後3日目には、過剰発現体と野生型の間で胚の大きさには差はみられないが、過剰発現体ではOSH1(未分化細胞マーカー)発現領域が拡大していた。したがって、サイトカイニンがメリステム形成を直接的に促進するという可能性が示唆された。
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