研究概要 |
「結晶成長論に基づく集積体の欠陥率の低減及び大面積化」に関しては、「基板上成長法」と呼ばれる構造形成法を提案し,これを利用した完全性の高い二次元DNAパターンを実現した。基板上成長法とは,DNAナノ構造を基板に弱く吸着させた状態で構造形成を行う手法であり、基板との間にマグネシウムイオンなどの多価イオンを介してDNAを吸着させる方法である。具体的には、T-motifと呼ぶ成長単位をマイカ基板上にて自己集積させ、実験したすべての集積パターンにおいて、それぞれ溶液中より大面積で高い完成率の構造を得た。「フォトニック結晶のためのコロイド結晶構造の制御」に関しては、本研究において新たに見出したコロイド粒子による気相、液相、結晶相への相分離現象について相図を作成することに成功した。これによって、結晶相が安定に存在する条件が明らかとなり、結晶性制御に向けた機構の解明および重力場あるいは電場の外場制御による結晶構造制御技術の確立に向けた端緒が開かれた。「メタマテリアルのための金属リング構造の作製」に関しては、固定用DNAアンカーを有するDNA格子(昨年度実施)に、高密度に金属粒子を配置するためのDNA被覆粒子の開発を行った。従来の方法では金属粒子を密に配置することが困難であったが、金属粒子のサイズに対してDNA被覆密度を適切に制御することによって、理論上全ての近接する格子点に粒子を配置できることが分かった。今後は、本研究によって開発したアンカー付DNA格子に相補的DNAを被覆した金属粒子を高密度に配置して金属リング構造の作製を行う予定である。
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