研究概要 |
i)各miRNA転写量の変化を入力として読み取り、DNA分子を順次合成することでガンのプロファイルを実行する、カスケード化が可能なDNA合成反応を開発した。入力や論理ゲート素子として機能するDNAの配列に、転写パターンをプロファイルしてガンを予測できると報告されているmiRNA(Vonlinia, et.al., PNAS, 103, 2257-2261, 2006)のうち、ガン細胞で転写量が増加して特に高精度に予測できるとされる配列miR21、miR24、miR221を用いて反応に成功した。ii)さらに、正常な転写パターンにおけるmiRNA濃度ではわずかしかDNA合成が起こらず、miRNA濃度が増加するにしたがって多量のDNAが合成されるような、miRNA量の増加にしたがって進行するDNA合成反応カスケードの実現可能性を示した。合成抑制DNAとプロファイルDNAを適切な濃度で投入しておくことで、miRNA量の情報をシグナルDNA合成量の時間パターンに変換することに成功した。以上の成果によって、シグナルDNAが各段階の合成反応の入出力となるカスケード化された反応で、逐次的に転写情報を処理する反応システムの妥当性を示すことができた。実際のガンのプロファイルに適用できるレベルの詳細な反応制御を可能にするため、各要素過程の反応パラメータを測定して定量データの蓄積を開始し、連携研究者とともに反応のモデル化にも着手した。シミュレーションと実験結果をフィードバックしながら、期待通りの精度で反応が進行する最適条件の検討を進めている。
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