21年度では、本研究により、in vivo蛍光イメージング装置およびpositron emission tomography(PET)を用いて、神経幹細胞の成体サル脳内における動態をin vivoで可視化するための神経幹細胞特異的な標識技術の開発を、最初に行った。ここでは、神経幹細胞特異的に賦活されるCD133プローモーターをカニクイザルBACライブラリーよりクローニングし、その下流に緑色蛍光タンパク質(EGFP)、あるいはアミノ酸トランスポーター遺伝子を置いたレンチウィルスベクターを構築することで、感染神経幹細胞において特異的にそれらタンパク質を発現するレンチウィルスを調製した。それを、ラット胎仔海馬歯状回より初代培養した神経幹細胞に感染させ、当該神経幹細胞を成獣ラット脳室下帯に移植した後に、in vivo蛍光イメージング装置およびpositron emission tomography(PET)を用いて、生体脳内における移植神経幹細胞の増殖・遊走をin vivoで検出画像化することを行った。本技術により、さらに、ほ乳動物成体脳内に内在する神経幹細胞のin vivoイメージングを行うことが可能であり、22年度には、ラットおよびサルにおいて成体脳内神経新生の健常時あるいは病態時における動態解析を試みる予定である。21年度には、次に、脳内において神経幹細胞の細胞膜で特異的に発現するCD133受容体様膜タンパク質に結合するリガンドタンパク質の検索をCDファミリータンパク質への結合活性を有するリード化合物ライブラリーより、蛍光相関分光法(FCS)を用いて探索することで、CD133に結合するリガンド候補ペプチドを新規に同定した。これらペプチドは、今後、神経幹細胞の脳内動態をPETで解析するためのトレーサー前駆体の創出に有用である。
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