当該年度では、ビメンチンとN-アセチルグルコサミン糖鎖高分子との相互作用について、Docking simulationを行い、詳細な結合様式を検討した。その結果、ビメンチンはGlcNAc糖鎖高分子と相互作用するときに4量体を形成することがあきらかになった。そして、GlcNAc糖鎖高分子のビメンチンに対する結合価を調べたところ、GlcNAcが4価以上必要であることが明らかになった。また、ビメンチンのGlcNAc結合に関するアミノ酸を検討したところ、396番目と382番目のグルタミン酸が重要であることがわかった。そこで、これらのアミノ酸をアラニンに換えた点変異型のビメンチンを作製したところ、GlcNAc結合活性を喪失した。さらにGlcNAc結合ドメインであるrod IIドメインと非常に相同性の高いGFAP(グリア繊維酸性タンパク質)やペリフェリンとのGlcNAc糖鎖高分子との相互作用を検討したところ、高い相互作用が観察された。これらのことから、GlcNAc結合活性がType III型中間径フィラメントにおける共通の性質として考えられた。今後は、このType III型中間径フィラメントの細胞外出現とGlcNAc結合活性の役割について詳細に検討していく予定である。
|