研究課題/領域番号 |
20200018
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
横尾 隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70301538)
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研究分担者 |
上地 正実 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (90296426)
大西 彰 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組え家畜研究センター, 副研究主幹 (30414890)
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キーワード | 異種移植 / 腎臓再生 / 胎仔 / 間葉系幹細胞 |
研究概要 |
我々は後腎発生の血管迷入期前後に後腎を大網に移植することにより移植後腎はさらに成長を続け尿生成を開始するという現象に着目し、骨髄由来問葉系幹細胞を異種胎仔尿管芽発芽部位に注入し発生プログラムを遂行させることで作成したヒト由来腎組織を、ラットの大網内に移植した(改良型リレー培養法)。これにより尿生成能を獲得したヒト間葉系幹細胞由来再生腎臓(neo-kidney)の樹立が可能であることが示された。そこで本研究では、尿生成能以外の腎機能を獲得しているか、エリスロポエチン産生能を一例として確認を試みた。抗エリスロポエチン抗体を用いた組織学的検討で新規腎臓中にエリスロポエチン産生細胞が存在することが確認された。このエリスロポエチン産生が生理学的制御下にあるか確認するために、貧血の有無による産生能の変化を血清中のエリスロポエチンタンパクをELISAにより測定した。図右に示すように、両腎を持っコントロールラットは急速潟血による貧血惹起によりエリスロポエチン濃度の上昇が認められる。一方両腎を摘出した無腎臓ラットではこのエリスロポエチン濃度上昇が消失していた。しかし新規腎臓を大網内に持つ無腎臓ラットは貧血惹起によりエリスロポエチンの血中濃度上昇を認めたため、新規腎臓からのエリスロポエチン産生は貧血による生理的制御下にあると判断された。これまでウイルスなどの使用により人工的にエリスロポエチンを強制発現させた細胞移植などで腎性貧血治療の可能性が報告されてきたが、本法は直接エリスロポエチン産生細胞へ分化を誘導が可能であり、さらに発現が貧血に依存していることより優位であると考え、エリスロポエチン産生組織樹立法としても使用できる。
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