研究課題/領域番号 |
20200019
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90329475)
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研究分担者 |
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90302893)
細矢 明宏 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (70350824)
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (10367617)
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キーワード | 破骨細胞前駆細胞(QuOPs) / カーボンナノチューブ / RANKL / NFATc1 / エピタキシー / M-CSF / 転写因子 / 骨芽細胞 |
研究概要 |
交付申請書に記載した「エピタキシー因子の遺伝子改変マウスの作成」は、因子のクローニングが成功しておらず、着手していない。これまでCNTについて、In vivoにおいて多層カーボンナノチューブ(MWCNT)が、Bone morphogenetic protein 2 (BMP2)誘導性の異所性骨の骨塩量を有意に増加させること、またin vitroにおいて、初代骨芽細胞培養系にMWCNTを添加すると、その石灰化を促進することを見出した。今回、MWCNTが石灰化を促進する機構について解析し、次の事象を見出した。MWCNTを石灰化培養液に加え、1週間後に走査型電子顕微鏡(SEM)での観察および元素分析を行った。また同時期に培養皿底面に残ったMWCNTを回収し、そこに付着するCaを定量した。コントロールとしてカーボンブラック(CB)を添加した群でも同様にCaを定量した。次にCa濃度の異なる3種類の培養液で初代骨芽細胞培養を行い、1週間後にALP染色および骨芽細胞の発現する遺伝子をreal time PCR法で定量した。SEM観察では、MWCNT周囲には1週の時点で結晶が析出しており、元素分析を行うと、CaやNaなど培養液中に存在する様々な元素であった。次にCaを定量すると、CMCと比較し、多くのCaが析出し、またMWCNT濃度依存的にCaは増加していた。次に骨芽細胞培養において、培養液中のCa濃度を上昇させると、ALP染色は濃度依存的に強くなり、また成熟骨芽細胞であることを示すosteocalcinの遺伝子発現も、濃度依存的に増加していた。MWCNTは、骨芽細胞が存在しない状態でもCaを引き寄せており、MWCNT周囲のCa濃度は局所的に高ると考えられる。またその上昇したCa濃度の影響により、骨芽細胞の成熟化が促され、MWCNTは相乗的に骨芽細胞による石灰化を促進することが考えられた。
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