研究課題/領域番号 |
20200020
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
孔 相権 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (80514231)
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研究分担者 |
米野 史健 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 博士研究員 (60302965)
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キーワード | 高齢者 / QOD (Quality of Death) / QOL (Quality of Life) / ターミナルケア / NPO / 支援組織 |
研究概要 |
本年度の主要な実績を以下に記載する。 1.フィールド調査の実施と成果のとりまとめ及び情報発信 平成20年度に関係構築を行ったフィールドにおいて平成21年度に引き続き調査を実施し貴重なデータを得た。(1)岡山県津山市においては在宅高齢者が自然発生的に集まる場において昨年度に引き続き調査を実施し、高齢者の社会参加を実現するための分析・考察を行い、結果を日本建築学会大会にて発表した。(2)昨年度に引き続き民間賃貸住宅における単身高齢者の入居支援と見守りを行う全国のNPOの取り組みを調査し、身寄りのない高齢者に対する生活支援策について分析・考察を深め、結果を日本建築学会大会において二報発表し、それらを査読付論文にとりまとめた。(3)昨年度に引き続き福岡県A病院において職員参加型のワークショップを実施し、重度化する施設居住高齢者に求められる居住環境についての分析を進め、結果を日本建築学会にて発表した。(4)昨年度に引き続き兵庫県伊丹市のクリニックNにおいて在宅看取りを行った遺族を対象にインタビュー調査を実施し、看取る場所に関する分析と考察を深めた。遺族との日程調整が難航し研究期間ギリギリまで調査を行ったため、成果発表は平成23年度に行う予定である。 2.「死」を前提とした社会システムを再構築するための考察 「死」を前提とした社会システム、すなわち「能く生き良く死ぬ」ことが可能な社会を実現するためには、I.社会参加、II.安定居住、III.死生観に合致した看取り、が必要であることを明らかにした。研究成果との対応でいえば、I→(1)(2)、II→(2)(3)、III→(4)という対応になる。構成要素については新たな知見を得、学会発表などを通じてその成果を公表できたものと考える。しかし、フィールドは岡山、福岡、兵庫と散在しており、一つの地域内で得られた知見をどのように実現し新たな社会システムを再構築していくべきか議論を深めることが今後の課題となる。
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