研究課題/領域番号 |
20200021
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
市原 正智 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00314013)
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研究分担者 |
竹内 環 中部大学, 生命健康科学部, 助手 (90392018)
村雲 芳樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40324438)
増田 章男 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10343203)
米田 誠 福井大学, 医学部, 准教授 (70270551)
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キーワード | 分子状水素 / 活性酸素 / 酸化ストレス / ヒドロキシラジカル / パーキンソン病 |
研究概要 |
疾患モデル動物で吸入空気内の水素の効果を主に検証し、疾患の予防として役立つかどうかを評価した。食中毒毒素であるセレウリド毒素による肝障害モデルでは、水素ガスの吸入、溶存水素水の腹腔内投与により肝障害が軽減されることを病理組織像、血清生化学的に確認した。ヒト肝臓癌由来HepG2細胞などを用いた解析により、水素はカリウムイオノフォアであるセレウリド毒素によるミトコンドリア膜電位低下を防ぎ、その結果ミトコンドリア膜電位低下に伴うチトクロームCの放出に始まるカスペース活性化を抑制し、アポトーシスから細胞を保護する可能性が示唆された。生活習慣病の一つでもある、NASHモデルマウスに水素ガスを吸入させたところ炎症、腫瘍形成が軽減する一方形成された肝臓癌の病型にも水素投与による修飾が観察された。またラットのNASHモデルで通常飼育時、CDAA食の投与による酸化ストレス負荷時、それぞれ2つの条件で水素の投与の有無に伴う遺伝子発現の差をDNA microarrayで検討したところ100以上の遺伝子が水素投与により遺伝子変動を示すことが明らかとなった。ARDSモデルマウスでは水素がLPSの気管内投与に伴い引き起こされる肺水腫の病態を軽快させることを示した。さらに水素が炎症性サイトカインであるTNFの発現を転写レベルで抑制していることを見いだした。パーキンソン病モデルラットでは興味有ることに吸入水素ガスで、パーキンソン病発症が抑制されたものが1匹、中程度に改善がみられたものが1匹、発症したものが4匹であった。水素水飲水においては全てのラットで発症抑制効果みられることから、2%水素ガスの吸入では作用が異なることが示唆された。
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