研究概要 |
(1)Sequential cloningシステムの構築 大腸菌において複数の遺伝子を一つずつ連続的にクローニングするシステムをすでに構築しているので、それを改良し光合成のそれぞれの素過程に関与する遺伝子を、次々とクローニングするシステムを構築した。 (2)カロテノイド合成遺伝子群のクローニング カロテノイド合成の基質となるファルネシル二リン酸はドリコールやホパノイド類の合成基質としても知られ、大腸菌でも盛んに合成される。ファルネシル二リン酸からカロテノイドを合成する酵素は紅色光合成細菌Rhodobacter sphawroidesの場合で触媒反応順にcrtE,-B, -I, -C, -D, -F, -Aが同定されており、これら7種の遺伝子産物によりスフェロイデンが合成される。今年度は上記のSequential cloningシステムを利用して、ort, B, I, C, D, F, A, をクローニングした菌株を作製した。 (3)バクテリオクロロフィル合成遺伝子群のクローニング グルタミン酸に始まるクロロフィルおよびバクテリオクロロフィルの合成過程は大きく3つにわけることが出来る。一つ目は5-アミノルブリン酸(ALA)に至る合成過程、二つ目は8分子のALAからプロトポルフィリンIXを形成する各生物共通の過程であり、最後の過程ではプロトポルフィリンIXの中心にマグネシウムイオンが配位し、いくつかの修飾反応と長鎖アルキルの付加反応を経てバクテリオクロロフィルまたはクロロフィルが完成する。この最後の過程では一連のbch(またはCh1)遺伝子産物が反応を触媒する。今年度は上記のSequential cloningシステムを利用して、bchB, C, D, E, F, G, H, I, J, L, M, N, P, X, Y, Zをクローニングした菌株を作製した。
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