研究概要 |
(1)Sequential cloningシステムによる光合成関連遺伝子群のクローニング 大腸菌染色体に光合成細菌Rhodobacter sphaeroidesの光合成に関与する遺伝子群を、大腸菌のプロモーターやSD配列に遺伝子をつなげた形でクローニングした。また活性が認められない遺伝子群については、光合成細菌Rubrivivax gelatinosusの遺伝子を、同様に大腸菌のプロモーターやSD配列に遺伝子をつなげた形で、多コピープラスミドにクローニングした。 (2)カロテノイド合成の再構築 R.sphaeroidesのカロテノイド合成に関与する遺伝子群に、R.gelatinosusの遺伝子を加える形で、R.sphaeroidesのカロテノイドであるスフェロイデンの合成に成功していたが、将来系統的に大腸菌に近い光合成細菌Allochromatium vinosumを再構成に使う可能性を考えて、A.vinosumのcrtI, F遺伝子を補うことにより、A.vinosumのカロテノイドであるスピロキサンチンの合成を試み成功した。 (3)バクテリオクロロフィル合成の再構築 R.sphaeroidesのバクテリオクロロフィル合成に関与するbch遺伝子群を大腸菌染色体にクローニングした菌株に、R.gelatinosusのbch遺伝子群をクローニングしたプラスミドを導入することにより、世界で初めてクロロフィライドaの大腸菌における合成に成功した。 (4)大腸菌染色体大規模欠失株の作製 光合成機能の再構成のためには、カロテノイドとバクテリオクロロフィルを同時に合成させる必要があり、そのためにはエネルギーや還元力が充分に供給されなければならない。そのためには染色体上の不要な遺伝子群を大規模に欠失させた菌株、所謂ミニマムゲノムファクトリーが有効であると考えて、大腸菌染色体大規模欠失株の作製を行った。
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