生細胞は生命活動のために外界から様々な元素を取り込んだり放出したりしているが、極性や電荷をもった元素が生体膜を介して細胞に出入りするには、生体膜輸送を担う何らかの膜輸送体が必要である。本研究では、植物ゲノム総当たり式に膜輸送体と予想される遺伝子の過剰発現解析を行う。本研究は、モデル植物シロイヌナズナ膜輸送体遺伝子の過剰発現がもたらす細胞内の元素量の変化を調べることを目的としている。 本年度までに、膜輸送体遺伝子コレクションの拡充を進め当初目的の約90%まで遺伝子クローニングを完了した。過剰発現の元素レベルへの効果については(1)動物細胞を宿主とした過剰発現株でモリブデンの細胞内濃度を変化させるか調べた。また、(2)モデル植物シロイヌナズナを宿主とする過剰発現株について、アントシアニンの色調変化と重金属耐性を評価し、マンガン、亜鉛、ニッケル、カドミウムの膜輸送体の候補遺伝子を選抜した。 以上の中間成果について7回の学会発表を行った。また、研究遂行過程の発明1件を特許出願した。
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