オートファジー性細胞死誘導ペプチドTat-Ram13の構造基盤、およびオートファジー関連分子のGST融合タンパク質の調製の2つを中心に検討を進めた。その成果について以下に記す。 1. ペプチドミメティックスによる新規オートファジー制御剤の創製 Tat-Ram13(26残基)の構造上、Ram13の5残基のモチーフが活性発現にきわめて重要であることを明らかにした。これより15残基程度までペプチドを短くできる可能性がでてきた。また、構造計算によりこの部分の構造を把握した。 2. オートファジー阻害ペプチドの同定とその性格付け ファージディスプレイ法を適応する前段階としてオートファジー関連分子(ATG、ATG16L)を、大腸菌発現系を用いてGST融合タンパク質として調製した。 3. オートファジー制御剤の白血病細胞を用いた活性評価 オートファジー関連分子ノックダウン細胞を調製するため、Tat-Ram13がよく効く白血病細胞株に対して、ATG5とBeclinのshRNA発現ベクターをNucleofector II(設備備品)を用いて細胞導入した。薬剤処理により安定発現株を樹立する直前の段階まで進んだ。 4. オートファジー性細胞死誘導の分子機序解析 Tat-Ram13の感受性を細胞株間で比較したところ、効く細胞と効かない細胞の2つに分類されることがわかった。これら細胞群のリン酸化シグナルを解析した結果、PI3キナーゼ経路の主要分子の発現の有無で明確に区分されることを見出した。
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