研究概要 |
本研究の狙いは, 高次脳機能障害や精神障害, 学習障害などの病名が与えられた人々(the Communication Handicapp ed ; 以下CH)が世間から分離されることなく, 周囲の人々と自然なコミュニケーションができる社会の実現にある.その足掛りとして, 本研究では, CHの<逸脱>行動を単にCH個人「内」の病理と捉えるのではなく, 周囲の人々との個人「間」にある問題として捉えなおすという課題を提案する.そして, これに際し<逸脱>の発生か照解消までの会話上のトラブルをコミュニケーションギャップと規定する.本課題の研究期間内の目標は, 会話の成員が個々に持つ社会的・個人的属性や会話の個々の構成物(発話や身振り)の相互作用が作り出すコミュニケーションシステムにおいて, コミュニケーションギャップが検出され, 排除1吸収されていく過程のメカニズムを解明することである.本年度は, この目的を達成するため, 以下のデータを収集した. (1)二人会話データ : 精神科医による面接場面の会話(8組分各30分) (2)三人会話データ : 看護士による訪問看護場面の会話(2組分各60分) 統合失調症患者どうしのお茶会場面の会話(2組分各60分) 統合失調症患者どうしのお茶会場面の会話(2組分各60分) 統合失調症患者どうしのサイコロを用いた自由会話(31組分各30分) 高次脳機能障害者を含むサイコロを用いた自由会話(23組分各30分) (3)四人会話データ : 統合失調症患者を含む自由会話(2組分各90分)
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