研究課題
H21年度は本研究の第2年度であり、新たな実験設備の開発と国内外で学際交流を深める中で、以下のような展開・成果を得た。「研究項目1:低重力天体の地質・地形データの高解像度解析」:はやぶさ探査機による小惑星イトカワ表面の岩塊と大型の普通コンドライト隕石の岩石学的比較を論じた共著論文を出版した。丸みを帯びたタイプと結晶組織が強度を支配するタイプに大別できることから、衝突破壊後の再集積・表面移動の過程での進化の重要性が示唆された。「研究項目2:地上衝突実験・弾性波計測」:高空隙率標的、粉体標的への衝突・弾性波実験のため、隕石・宇宙塵の圧縮強度データから模擬小惑星物質を試作し、一枚岩・砂礫・粉体に分割した。新たにPVDFセンサも整備した。「研究項目3:微小重力環境下での衝突実験」:本研究は、岐阜県土岐市のMGLAB自由落下塔での微小重力実験の継続的な実施を前提として研究計画を立てていた。しかし同施設がH21年度で閉鎖することとなったため、独自の自由落下用真空実験カプセルを自作することとした。H21年度はその製作と性能試験に多くの時間と予算を割いた。「研究項目4:微小重力環境下での粉体流動実験」:上記の理由で、実験データは取得できなかった。一方、欧米の研究者と国際ワークショップ「NuMAGs」を開催し、粉体物理学者と学際分野での共同研究を進めることで合意した。「研究項目5:微小重力地質学シミュレーション」:微小重力衝突実験の画像データを用いて、フランスの数値シミュレーション研究者との共同研究に合意し、データの交換を開始した。「研究項目6:微小重力地質現象の発生モデル」:土砂崩れや雪崩の専門家や、隣接分野の微小重力科学の研究者を招いて「第二回微小重力地質学研究会」を開催し、発生モデル構築に向けた共同研究を模索することになった。また、本研究の成果は逐一、現在開発中の微小重力天体上の衝突実験や試料採取などの探査計画の機器開発へ反映させる。
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Icarus 206
ページ: 319-326