研究概要 |
1. 2-ジアゾアセチルベンズアルデヒド-0-メチルオキシムを前駆体として発生させたアゾメチンイリドの反応 2-アクリロイル-1-(1-ナフチルメチル)-5,5-ジメチル-3-ピラゾリジノンを親双極子剤として、平成20年度に引き続き、更なる高い不斉誘起を目指した検討を行った。ビナフチルジイミン型配位子をNaBH_4により還元し、種々の金属塩との組み合わせで調製した錯体(20moユ%)を、キラルルイス酸触媒として用い、クロロホルム中、室温で反応を検討したところ、過塩素酸亜鉛(II)との組み合わせにより調製した触媒を用いた時に、exo-体のみ(>99:1)が極めて高いエナンチオ選択性(93%ee)で得られることを見出した。 2. N-ジアゾアセチル-2-ピロリジノンを前駆体として発生させたカルボニルイリドの反応 (1) (4S, 5S)-Pybox-Ph_2-Sm(OTf)_3錯体(10mol%)存在下、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンとの反応により得られたexo-付加体(87%ee)をEt_3SiHで還元するとエポキシ架橋が開環したアルコール体が単一のジアステレイマーとして得られ(73%)、続いてLiAlH_4で還元すると6-ヒドロキシタシロミン(32%)が得られることを明らかにした。 (2) 親双極子剤として3-クロトノイル-2-オキサゾリジノンを用いる付加環化反応では、-20℃でPybox-Ph_2-La(OTf)_3触媒(10mol%)が有効に働き、極めて高いレベルの不斉誘起(95%ee, exo:endo=75:25)が認められた。 (3) 3-(3-エトキシカルボニルプロペノイル)-2-オキサゾリジノンとの反応においても、Pybox-Ph_2-La(OTf)_3触媒(10mol%)存在下、主立体異性体が良好なエナンチオ選択性(84%ee)で得られることを明らかにした。
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