研究概要 |
1.ジアゾイミン誘導体を前駆体として発生させたアゾメチンイリドの不斉付加環化反応 昨年度に引き続き、2-ジアゾアセチルベンズアルデヒド-0-メチルオキシムをアゾメチンイリド前駆体とする2-アクリロイル-1-(1-ナフチルメチル)-5,5-ジメチル-3-ピラゾリジノンとの反応を検討し、キラルなビナフチルジアミン配位子とCu(II)塩より調製した錯体(20mol%)存在下に行うと、再現性に若干の問題を残すものの、極めて高いエナンチオ選択性(99%ee)でexo-体のみが得られることを見出した。一方、2-ジアゾ-1-[2-(5,5-ジフェニル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)フェニル]エタノンからRh_2(OAc)_4触媒により発生させたアゾメチンイリドの反応では、キラルなビナフチルジイミン-Ni(II)触媒(20mol%)を用いた時に最も高い不斉誘起(88%ee)が認められ、exo-体のみがジアステレオ選択的に得られることを明らかにした。 2.N-ジアゾアセチル-2-ピロリジノンをカルボニルイリド前駆体とする不斉付加環化反応と合成化学的応用 親双極子剤として3-クロトノイル-2-オキサゾリジノンを用いる反応のみならず、Pybox-Ph_2-La (OTf)_3触媒(10mol%)存在下、3-(2-ペンテノイル)-,3-(2-ヘキセノイル)-,3-(4-メチル-2-ペンテノイル)-,および3-(3-アセトキシプロペノイル)誘導体との反応においても良好な不斉誘起(95-74%ee)が認められることを明らかにした。また、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンとの付加体の立体選択的エポキシ架橋開環反応を利用して、(+)-Tashiromineの全合成を達成した。
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