1) ミトコンドリアのクリステ構造を構成している因子の同定 ひだ状膜構造の代表例としてクリステ構造に着目し、その構造を作り出している因子を検索・同定する。HeLa細胞を用いたミトコンドリアタンパク質の網羅的ノックダウンの手法で、個々の遺伝子を発現抑制することでLETM1ノックダウンと同じく膨張したミトコンドリア形態を誘導する遺伝子を検索する予定である。平成20年度は、実質的な期間が短いことから、LETM1ノックダウン細胞や過剰発現細胞でのミトコンドリアのクリステ構造や内在性LETM1のミトコンドリアでの局在を免疫電子顕微鏡を用い、検討した。LETM1はクリステ構造上に局在しており、特にクリステ膜同士が近接する部位に多くみられた。 2) 折り畳み膜構造の再構築 リボソームで折り畳み膜構造を再構成するために、LETM1複合体の精製を行う。私達はLETM1はクリステ構造の構成因子と考えており、その複合体中のタンパク質も同じ役割を担うことが推測される。すでに、LETM1が300kDa程度の複合体を作ることを確認しており、この複合体を精製し結合因子を同定する。現在、バキュロウイルスを用いた系で、ヒトLETM1の大量発現系の構築を進めている。得られたリコンビナントタンパク質を用いて、相互作用因子の同定にも繋げたい。
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