研究課題
本研究では、植物の生存戦略としてのオートファジー、RCBを介した葉緑体タンパク質分解の分子機構と生理的意義について明らかにすることを目的に解析を進め、本年度は以下の成果を得た。(1)RCB形成不能変異体の単離EMS変異処理をしたM2植物、約6000個体から蛍光顕微鏡下のスクリーニングによりRCB形成不能となる変異体を5個体単離した。これらについて親株との戻し交配、及び親株と異なるエコタイプとの交配を進めた。(2)RCB形成要因の解析RCB形成に及ぼす栄養(窒素、炭水化物)や環境(光)の要因について解析し、RCB形成が炭水化物の飢餓と密接に関わっていることを明らかにした。またデンプン代謝に関わる変異体とatg変異体の2重変異体を作成した。(3)オートファジー不能植物の老化促進表現型についてオートファジー不能植物の老化促進表現型が過剰なサリチル酸シグナリングによるものであることを明らかにした。また、そのサリチル酸シグナルによってオートファジーが誘導されることも見出し、オートファジーによるサリチル酸シグナリングのネガティブフィードバック機構の存在を明らかにした。(4)クロロフィル代謝中間体の老化促進表現型への影響についてクロロフィル代謝中間体の過剰蓄積がオートファジー不能植物の老化促進表現型に影響を及ぼしているかを調べるため、クロロフィル分解が起こりにくい変異体とオートファジー不能植物との二重変異体を作製すべく、掛け合わせを行った。来年度はこの二重変異体の表現型を精査する。
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