研究概要 |
本研究では、植物の生存戦略としてのオートファジー、RCBを介した葉緑体タンパク質分解の分子機構と生理的意義について明らかにすることを目的に解析を進め、本年度は以下の成果を得た。 (DRCB形成不能変異体の単離 昨年度単離した変異体、3個体(rcb1,2,3)について原因遺伝子の同定を試みた。rcb1についてはATG7、rcb3にはATG10にそれぞれ点変異が確認された。rcb2に関してはシロイヌナズナにシングルコピーで存在するATG遺伝子群には変異は見つからなかった。 (2)RCB/オートファジー経路のRubiscoの分解に占める貢献度について Rubisco-GFP,Rubisco-RFPをマーカーとしてRubiscoのオートファジーによる液胞への移行を定量評価するアッセイ系を構築した。 (3)オートファジー不能植物の老化促進表現型について オートファジー不能植物では活性酸素種(ROS)が高蓄積していることを見出した。これは通常の生育条件下で老化とともにROSの蓄積が観察され、サリチル酸量を低下させたオートファジー不能植物でもまだなお蓄積が観察された。したがって、オートファジー不能植物ではROSの発生源を分解できないために老化が進行してしまうのではないかという可能性が考えられた。 (4)クロロフィル代謝中間体の老化促進表現型への影響について クロロフィル代謝中間体の過剰蓄積がオートファジー不能植物の老化促進表現型に影響を及ぼしているかを調べるため、クロロフィル分解が起こりにくい変異体とオートファジー不能植物と掛け合わせを行い、その2重変異体を単離した。今後はその表現型を精査する。
|