本研究は細胞融合を担うシグナル制御機構の時空間的な解明を目的とする。具体的には、RacのGEFであるFARP2に着目し、破骨細胞分化過程におけるEARP2の機能をRacの活性を指標に解析を行った。 1、FARP2-Dominant Negative formを恒常的に発現するRAW細胞を樹立し、この細胞をRANKLで刺激したところ、親株細胞で認められる多核破骨細胞への分化が顕著に障害されることが明らかになった。この結果から、FARP2が破骨細胞分化に重要な機能を有する可能性が示された。 2、FARP2はRacのGEFであることから、破骨細胞分化過程におけるFARP2の機能をRacの活性を指標にFRET法にて解析した。その結果、親株細胞ではPodosomeと呼ばれる構造体にRac面の活性化が認められた一方、FARP2-DN細胞ではそのようなPodosome様の構造体及びPodosomeでのRacの活性化は認められなかった。この結果から、FARP2が破骨細胞の分化過程においてRacの活性化に重要な機能を有することが示された。 3、FARP2の生体内における機能を明らかにするために、FARP2遺伝子欠損マウスの作成を行った。樹立しFARP2欠損マウスの骨髄を用いてin vitroにてRANKLで刺激し、破骨細胞分化誘導実験を行った。その結果、FARP2欠損細胞は野生型細胞に比べてsuboptimal doseでの破骨細胞分化が顕著に障害されていることが明らかになった。この結果から、FARP2が実際に破骨細胞分化に関与することが示唆された。
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