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2010 年度 実績報告書

生体の生殖巣内における新たな生殖細胞誘導法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20200071
研究機関熊本大学

研究代表者

田中 聡  熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (10321944)

キーワード生殖細胞 / WNTシグナル / BMPシグナル / マウス / Dullard遺伝子
研究概要

マウス生殖系列細胞の成立に伴い、始原生殖細胞(primordial germ cells,PGC)の前駆細胞集団では、未分化性の維持に関連する遺伝子群の再活性化が知られている。一般的に、この生殖系列細胞の成立は、BMPシグナルに依存した分子カスケードによりPrdmlが活性化されることに始まると考えられている。しかし、Dullard遺伝子の欠損(Dullard^<-/->)マウス胚での解析から、BMPシグナルのみではなく、WNTシグナルも生殖系列細胞の形成にかかわっていることを明らかにした。Dullard^<-/->マウス胚では、Prdml陽性の生殖前駆細胞集団による細胞塊が形成されず、その結果、PGCが欠損する。このDullard^<-/->マウス胚での生殖細胞形成不全は、顕著なBMPシグナルの減衰は認められず、また、Bmp4欠損マウスとの交配実験からも、生殖細胞形成における遺伝学的相関は見られなかった。一方、Dullard^<-/->マウス胚では、canonical Wntシグナルの下流遺伝子群の発現が低下していた。Dullard^<-/->マウス胚と同様にWnt3欠損マウスにおいても、PGCが形成されないことから、Wntシグナルの活性がPGC形成に必須であることが示唆された。さらに、DullardのミュータントマウスとWnt3のミュータントマウスとの交配実験より、両遺伝子のヘテロマウス胚において形成される生殖細胞数の減少が観察されたことから、WNT3シグナルが生殖細胞形成に重要な役割を担っていることが明らかとなった。興味深いことに、Dullard^<-/->マウス胚からWnt3遺伝子アリルを1本除いた場合(Dullard^<-/->;Wnt3^<+/->)、生殖細胞欠損の表現型が一部レスキューされ、少数ながらPGCが形成された。Dullard^<-/->胚においてWnt3の発現を確認したところ、その発現は上昇していた。また、Dullard^<-/->;Wnt3^<+/->マウス胚では、Dullard^<-/->胚に比べ、Wnt3の発現が減少し、一方、全体のWntシグナル活性は上昇していた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Impact of WNT signalling on tissue lineage differentiation in the early mouse embryo2011

    • 著者名/発表者名
      Satomi S.Tanaka
    • 雑誌名

      Development Growth Differentiation

      巻: 53 ページ: 843-856

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Translocon-associated protein subunit Trap-Y/Ssr3 is required for vascular network formation in the mouse placenta2011

    • 著者名/発表者名
      Yasuka L Yamaguchi
    • 雑誌名

      Developmental Dynamics

      巻: 240 ページ: 394-403

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Loss of Lhx1 activity impacts on the localization of primordial germ cells in the mouse2010

    • 著者名/発表者名
      Satomi S.Tanaka
    • 雑誌名

      Developmental Dynamics

      巻: 239(11) ページ: 2851-2859

    • 査読あり
  • [学会発表] Dullard controls primordial germ cell formation by regulating canonical WNT signalling activity in the mouse embryo2011

    • 著者名/発表者名
      Satomi S.Tanaka
    • 学会等名
      Cold Spring harbor Asia conference, Developmental control of Sex, Growth and Cellular Fate
    • 発表場所
      Suzhou, China
    • 年月日
      2011-10-12
  • [図書] Methods in Molecular Biology ISBN 978-1-60327-290-2(Mark Lewandoski ed.)2012

    • 著者名/発表者名
      Satomi S.Tanaka
    • 出版者
      Analyzing gene function in whole mouse embryo and fetal organ in vitro(In press)

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公開日: 2013-06-26  

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