研究課題
最近、自然免疫においてインフラマソームと呼ばれるシグナル分子複合体が炎症反応の最も初期での病原体や痛風結晶の認識センサーとして働いており、下流に炎症シグナルを伝えていることが発見された。申請者は、ごく最近、このインフラマソームの中心構成分子であるASCが血管傷害後の新生内膜形成に重要であること見出しており、心血管疾患における最も初期の炎症反応の惹起機序についてASCノックアウト(-KO)マウスを用いてインフラマソームを中心に解析を行った。血管傷害後や心筋虚血再灌流後に病変部位でASCの発現が著明に亢進することを免疫組織染色法(蛋白レベルでの発現)とin situ hybridization法(mRNAレベルでの発現)で明らかとした。ASC-KOマウスでは、血管傷害後の内膜肥厚の形成が有意に減少しており、内膜肥厚部位での炎症性サイトカインIL-1βおよびIL-18の発現も低下していた。さらに、ASC-KOマウスの骨髄細胞を野生型マウスに骨髄置換して骨髄由来細胞のみのASCを欠損させたマウスでは、血管傷害後の内膜肥厚が有意に低下しており、骨髄細胞におけるASCの重要性が明らかとなった。今後、心血管疾患におけるインフラマソームの役割に対するさらなる検討により、心血管疾患を標的とした新たな治療法が開発されることが期待される。
すべて 2008
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