研究課題
脊髄小脳失調症10型(SCA10)・筋強直性ジストロフィー2型(DM2)の、AUUCU・CCUGリピートRNA結合タンパクをイオントラップ型質量分析装置(LC9 Advantage)を用いたLC/MS/MS解析により同定し、現在機能解析中である。既知のものは、その抗体を入手し、未知のタンパクであったり、良い抗体が得られない場合は独自に抗体を作成した。ペプチドは、構造上露出が予想され抗原性のあるタンパク部位からマウス・ヒトに共通するものを選び、抗体が作製されたら、gel supershift assayでRNA-protein complexのepitopeを認識できるかどうか確認した。また、蛍光insituハイブリダイゼーション-蛍光免疫染色(IF)を施行し、RNA結合タンパクとAUUCU/CCUG RNA fociとの共局在を検討した。コントロール細胞との比較IFでその局在差を検討すると同時に、ウエスタン法やreal-time RT-PCRで定量化を試みた。また、中国地方にしばしば認める小脳失調症と運動ニューロン徴候を併発した原因遺伝子未同定の常染色体優性遺伝性疾患を集積し、ゲノムワイド連鎖解析を行い、多点連鎖解析の結果、20番染色体短腕20p13領域に4.6のロッド値を認め、さらにfine mappingと共通ハプロタイプを認めたことで候補領域を1.8MBに絞り込んだ。この領域にNOP56遺伝子の第1イントロン内のGGCCTGリピート数が、全患者において、1500~2500リピートに異常伸長しており、脊髄小脳失調症36型(SCA36)と命名された。他の非翻訳リピート病(SCA10とDM2)と同じようにGGCCUG RNA fociを核内に認め、同様のRNA病態が考えられた。GGCCUG結合タンパクの同定を皮切りに、その詳細な分子病態メカニズムの解明とモデル動物開発に向けて鋭意努力中である。
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Human Genetics
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