• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

細胞内細菌処理機構からみた腸管粘膜免疫システムの解明と炎症性腸疾患治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20200080
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

井上 詠  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00232546)

研究分担者 岡本 晋  , 医学部, 講師 (70255446)
久松 理一  , 医学部, 講師 (60255437)
キーワード炎症性腸疾患 / 粘膜免疫 / 腸内細菌 / オートファジー / マクロファージ / 自然免疫 / クローン病 / 細胞内寄生菌
研究概要

腸管には特異な粘膜免疫防御システムが備わっていて恒常性を保っているが、クローン病というこの恒常性が破綻した状態がどうやって引き起こされたかを解明することによって腸管の恒常性を保っている腸管免疫機構を解明するために、クローン病の病態において、どのような腸内細菌がマクロファージ(Mφ)を活性化し炎症を惹起するのか、どのようなメカニズムで腸内細菌がMφを活性化するのか、という2つの命題に対して「腸管Mφ内での処理異常による活性化のトリガーが細胞内寄生菌ではないか」という仮説をたてた。これを検証するために、腸内フローラおよび腸管粘膜、粘膜内Mφを分子生物学的に解析することにより細胞内寄生菌の関与を明らかにするとともに、クローン病患者Mφでのオートファジー機能異常と細胞内寄生菌に対するマクロファージの反応異常に重点を置いて研究を進めた。
腸管粘膜より粘膜固有層単核細胞(lamina propria mononuclear cells; LPMC)を分離し、フローサイトメトリーにより、CD14陽性Mφサブセットの存在割合、表面抗原発現解析を行ったところ、炎症性腸疾患患者、特にクローン病患者腸管粘膜においてCD14陽性細胞が著明に増加していた。つぎにLPMCよりCD14陽性Mφを単離し、腸内細菌抗原であるEscherichia coli, Enterococcus faecalisにより刺激し、産生されるサイトカインを測定したところ、クローン病腸管粘膜より単離したCD14陽性Mφは、正常部腸管粘膜や潰瘍性大腸炎患者由来の同一サブセットと比較して、腸内細菌刺激により、多量のIL-23,TNF-αを産生することが示された。
これらの結果より、腸管Mφの機能異常がクローン病の病態において本質的な役割を果たしていることが明らかとなった。また、CD14陽性腸管Mφから産生されるIL-23が、クローン病の腸管炎症において重要な役割を担っていることが示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Monocyte chemoattractant protein-1 contributes to gut homeostasis and intestinal inflammation by composition of IL-10-producing regulatory macrophage subset2010

    • 著者名/発表者名
      Takada Y, Hisamatsu T, et al
    • 雑誌名

      J Immunol 184

      ページ: 2671-2676

    • 査読あり
  • [雑誌論文] クローン病における腸管マクロファージの腸内細菌認識異常IL-23を中心とした慢性炎症サイクル2009

    • 著者名/発表者名
      久松理一、井上詠, 他
    • 雑誌名

      消化器と免疫 45

      ページ: 52-54

  • [雑誌論文] Human CD14+ macrophages in intestinal lamina propria exhibit potent antigen-presenting ability2009

    • 著者名/発表者名
      Kamada N, Hisamatsu T, et al
    • 雑誌名

      J Immunol 183

      ページ: 1724-1731

    • 査読あり
  • [学会発表] クローン病におけるCD14+腸管マクロファージの抗原提示能について2009

    • 著者名/発表者名
      久松理一、井上詠, 他
    • 学会等名
      第46回日本消化器免疫学会総会
    • 発表場所
      松山
    • 年月日
      2009-07-23

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi