研究課題
23年度に計画した各課題について、それぞれ以下のような研究成果を得た。(1)身体運動コーパスの構築マーカレスモーションキャプチャ法として単一カメラを用いる方法と距離画像を用いる方法を開発した。身体運動コーパスの構築環境を開発し、データの蓄積を開始した。(2)人間の深部身体感覚の推定とその構造化簡略化しない詳細筋モデルでのリアルタイム計算および、皮膚感覚を含めた神経筋骨格モデルの計算アルゴリズムを新たに開発した。データベースによって推定された筋活動度を用いて、筋張力の最適化をおこなう方法を開発した。(3)自己とモノ.自己と他者の間の関係性コーパスの構築ロボットに搭載した距離画像カメラを用いて物体情報を切り出して取得する自己=モノ行動連想システムの開発をおこなった。自己の他者の関係を組み込んで自己の行動を決定する問題について研究を行い、人とのすれ違い動作の生成に新たな成果を得た。この方法を多重推論に用いることにより、自己と他者の関係が生まれると考えている。(4)自然言語の情報処理と身体運動の情報処理の融合自然言語による動作説明文と、日常的な身体運動との組み合わせからなる運動記号467個、自然言語の単語241個を用いた動作説明文764文のデータセットを構築した。(6)自然言語と身体感覚でコミュニケーションするヒューマノイドの開発ヒューマノイドロボットの歩行パターンを収束計算を行わずに決定する解析的計算法を開発した。これをHRP-4に実装し歩行パターンを柔軟に変化させられることを確認した。自然言語の文章から、ヒューマノイドの全身動作を連想し、それを干渉計算や物体の位置情報などによって現実の物理世界に矛盾のない動作に修正し、動作を実現するまでの実装のプロトタイプを実現した。
1: 当初の計画以上に進展している
マーカレスモーションキャプチャの開発によって身体運動コーパスの構築に進展があった。人間の深部身体感覚の推定の計算アルゴリズムの開発において大きな進展を見せた。この成果は24年3月の国内学会において最優秀論文賞を受賞した。関係性コーパスについては、自己とモノ、自己と他所の扱いについて基本原理が確立され、順調な進展であった。運動記号と自然言語のデータセットのプロトタイプができたことは本研究の根幹にかかわる重要な進展であった。ヒューマノイドロボットHRP-4を用いた実験環境の整備が完成し、それを用いた研究の統合を始めることができたことは大きな進展である。
研究計画の変更や問題点は特にない。最終年度の24年度には、(1)-(4)を(5)に統合する点に注意しながら、身体運動と言語を統一した人間・機械コミュニケーションのシステムとしての基盤技術の完成度を高めることを方針とする考えである。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (57件) 備考 (1件)
日本ロボット学会誌
巻: 29 ページ: 609-618
巻: 29 ページ: 745-751
http://www.ynl.t.u-tokyo.ac.jp