研究分担者 |
山口 陽子 独立行政法人理化学研究所, 創発知能ダイナミクス研究チーム, チームリーダー (00158122)
水原 啓暁 京都大学, 情報学研究科, 講師 (30392137)
佐藤 直行 公立はこだて未来大学, 複雑系科学科, 准教授 (70312668)
笹岡 貴史 京都大学, 情報学研究科, 助教 (60367456)
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研究概要 |
昨年度行った時計を刺激とした心的回転課題中の脳活動について,β帯域(14.7Hz)の脳波パワーとBOLD信号が相関を示す脳部位を調べた結果,右前・後部頭頂間溝,左下頭頂小葉および左運動前野において有意な負の相関が見られた.この結果は,心的回転中にこれらの領域がβ波の発生タイミングで動的な皮質ネットワークを形成していることを示唆している.また側頭葉-運動前野-頭頂葉(AIP-CIP)-視覚野の大規模ネットワークで心的回転のモデル化を行った.また多物体イメージの回転に関して,視覚シーンの変換についてモデル化を行った.モデルでは、観測者が仮想的に移動した場合に得られるシーンを現在位置のシーンの奥行き変換として算出し,各物体位置の情報をシーンのパースペクティブ情報として記銘した.計算機実験により,任意の位置の物体配置を生成できることを明らかにした.またイメージ生成と変換に関する研究を体系的にまとめ書物として出版した.最近人間の内嗅皮質でもその存在が確認されたグリットセルの形成メカニズムについて,移動の距離情報を方向依存的に積分及びリセットする機構を提案し,ニューラルネットワークモデルによる理論解析を行った.また佐藤と山口の提案したシータ波によりエンコードされるとする物-場所記憶の神経回路モデルに基づき,脳波とfMRIの同時計測により,モデルの妥当性を検証した.その結果,シータ波の発生のタイミングで海馬傍回場所領域と前頭眼野の活動が得られた.さらに身体運動を含めた物-場所記憶課題を遂行中の脳波とfMRIの同時計測実験を行うために,バーチャルリアリティを用いた実験課題を構築した.さらに,脳波とfMRIを用いて,高時空間分解能を有する脳イメージング技術を構築するために,特定の皮質活動に対応する脳波を分離する技術の構築に成功した.
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