(1)神経路選択的活動抑制法による線条体への入力システムの解析 げっ歯類および霊長類の脳において極めて高い効率で逆行性に感染するレンチウイルスベクターの開発に成功した。現在、このベクターにニューロン活動の不活化を誘導するタンパク質として、ショウジョウバエのアラトスタチン受容体(AlstR)あるいはテタヌストシキン軽鎖フラグメント(tTA・rtTA)の遺伝子を搭載した組換え体レンチウイルスベクターを作製する計画を進めている。 (2)OFF制御型逆行性越シナプス的トレーシングシステムの開発・検証 狂犬病ウイルスCVS株のフルゲノムのクローニングと構成遺伝子のクローニングを行い、ベクターとして利用できるようにウイルスゲノムcDNAから感染性ウイルス粒子を得るcDNA発現系を構築した。また、ゲノム内にGFP、RFP等のマーカー遺伝子を組み込んだベクターを作製し、ベクター感染によりマーカータンパク質が効率的に発現することを確認した。現在、これらのベクターの感染伝播動態を霊長類の脳において検証する計画を進めている。 (3)ON制御型逆行性越シナプス的トレーシングシステムの開発・検証 感染伝播能を欠損させた逆行性ウイルスベクターとして、ウイルスのエンベロープタンパクをコードする遺伝子であるG遺伝子をウイルスゲノムから欠損させた狂犬病ウイルスベクターを作製した。また、ON制御型トレーシングを実現するために必要なアデノ随伴ウイルスベクターの作製を行い、その回収系を立ち上げた。現在、G遺伝子欠損狂犬病ウイルスベクターの回収効率を上昇させる回収法の検討を行っている。
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