研究課題
神経路選択的活動抑制法の確立と応用については、認知過程を含む眼球運動課題および上肢運動課題の2種類の行動課題を訓練したサルにおいて、テタヌストキシン軽鎖フラグメントの選択的導入による神経活動抑制が行動に及ぼす影響の解析を進めている。具体的には、眼球運動課題では前頭葉眼球運動関連領野(前頭眼野や補足眼野)からの出力系に、上肢運動課題では線条体および前頭前野領域(特に背外側部と背内側部)への入力系に着目して、行動学的解析や電気生理学的記録実験を行う。また、近年発表された神経活動抑制系であるGluCl-ivermectin抑制系やCNO-DREADDs抑制系などの新規抑制系についても積極的に導入を検討し、霊長類において最も実用的な神経路選択的活動抑制システムを確立するための実験計画を策定した。神経路選択的な逆行性越シナプス的トレーシングの実現と応用についても、蛍光タンパク質を用いた越シナプス的多重トレーシング法により、前頭葉眼球運動関連領域(前頭眼野や補足眼野)および前頭前野領域(特に背外側部と背内側部)への多シナプス性入力様式の解析を進めるとともに、抗狂犬病ウイルス細胞内抗体を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを用いて、特定の神経路を選択的にマスクするOFF制御型逆行性越シナプス的トレーシングシステムを確立するための実験計画を策定した。また、Cre-loxPあるいはTet-On/Off遺伝子発現制御システムを応用して、特定の神経路を選択的にラベルするON制御型逆行性越シナプス的トレーシングシステムをサルにおいて確立するため、ベクター改良に伴う最適化検討実験を実施するための実験計画を策定した。
2: おおむね順調に進展している
「神経路選択的活動抑制法の確立と応用」および「神経路選択的な逆行性越シナプス的トレーシングの実現と応用」のいずれの研究計画についても、まだ最終的な研究目標には到達していないが、最終年度である24年度に向けて研究計画が順調に進展している。
「神経路選択的活動抑制法の確立と応用」および「神経路選択的な逆行性越シナプス的トレーシングの実現と応用」のいずれの研究計画についても、基本的に23年度の研究計画を継続する。提案したベクターシステムを前頭葉眼球運動関連領域および前頭前野領域への多シナプス性入力様式の解明に利用することにより、視覚性感覚運動変換や認知的実行機能に関わる大脳ネットワークの構築を明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (20件) 備考 (1件)
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