研究課題
基盤研究(S)
脳を構成する複雑かつ精緻な神経回路(ネットワーク)の枠組みを解明することは、それを基盤にして獲得される多様な脳機能をシステム的に理解する上できわめて重要である。特に、高次脳機能の発現・制御機構を解明するためには、大脳を巡るネットワークの基本的構築、すなわち、大脳皮質領域における入出力様式や大脳皮質(特に前頭葉)と強い結合を有する大脳基底核における情報処理様式を解析し、その動作原理と機能的役割を知ることが本質的である。例えば、大脳基底核の入力部である線条体には、前頭葉を中心とする皮質領域と視床からグルタミン酸作動性入力が、黒質からドーパミン作動性入力が投射するが、個々の入力が実際にどのような役割を担っているかについては未だ不明な点が多い。大脳皮質と大脳基底核を繋ぐ特定のネットワークあるいはそれを構成する特定のニューロン群が実際にどのような機能に関与しているかを明らかにするため、ターゲットニューロン選択的な不活化を行い、運動課題や認知課題を遂行中のサルにおける行動異常や課題に関連して応答するニューロン活動の電気生理学的変化を解析するシステムを確立することにより、大脳基底核における入力情報処理機構の解明を目指す。神経路選択的活動抑制法によって同定された線条体ニューロンへの入力系を明らかにするため、組換え狂犬病ウイルスベクターを利用して、特定のニューロン群への多シナプス性入力を検出できる、神経路選択的かつON制御型の逆行性越シナプス的トレーシングを実現するシステムの確立を目指す。さらに、それを発展させて、特定の神経路を選択的にマスクするOFF制御型の逆行性越シナプス的トレーシングシステムや、ON制御型トレーシングをmulti-colorで行うシステムを確立し、これらの先端的技術を組み合わせることにより、線条体への入力ネットワークを機能解剖学的に検証する。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Cereb Cortex in press
Hum Gene Ther 22
ページ: 197-206
Eur J Neurosci 33
ページ: 285-297
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/sections/systems_neuroscience/index.html