研究課題
本年度は前年度の結果を基に、カチオン化ゼラチンによる遺伝子導入と発現、細胞の分化についてより詳しく調べた。ゼラチンへスペルミンを反応させることによって、カチオン化ゼラチンを作製した。カチオン化多糖およびカチオン化ゼラチンとプラスミドDNAとのコンプレックスを含む培養液中で、骨髄由来の未分化間葉系幹細胞を培養、遺伝子発現活性を評価したところ、ゼラチンの分子量、スペルミンの導入率などが遺伝子発現レベルに影響を与えることがわかった。次に、ゼラチンとβ-トリカルシウムリン酸(βTCP)粉末との複合体から3次元のゼラチンスポンジを作製した。作製されたスポンジに細胞接着因子を組み込み、さらに、カチオン化ゼラチンとプラスミドDNAとのコンプレックスを入れ、遺伝子発現について調べた。その結果、スポンジの性質が遺伝子発現パターンに影響を与えることがわかった。次に、プラスミドDNAの代わりに、small interfering RNA (siRNA)を用いて同様の検討を行った。siRNAの場合にも、スポンジの性質がsiRNAの生物活性発現レベルに影響を与えることがわかった。さらに、遺伝子導入を静置条件ではなく、振とう、旋回、培養液の循環型の培養装置(バイオリアクタ)を用いて遺伝子導入培養を行った。細胞の状態について生化学的、分子生物学的に評価をしたところ、培養条件が遺伝子発現レベルに影響を与えることが確認された。静置培養に比べて、バイオリアクタとの組み合わせにより発現レベルは高まった。これは、バイオリアクタを組み合わせることで細胞の増殖状態がよくなり、その結果として、遺伝子発現が高まったと考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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