研究課題/領域番号 |
20220011
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
神庭 信幸 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部・保存修復課, 課長 (50169801)
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研究分担者 |
荒木 臣紀 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部・保存修復課・環境保存室, 主任研究員 (20537344)
土屋 裕子 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部・保存修復課・保存修復室, 主任研究員 (60321551)
和田 浩 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部・保存修復課・環境保存室, 主任研究員 (60332136)
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キーワード | 文化遺産 / 博物館 / 保存科学 / 臨床 / 予防 |
研究概要 |
意思決定サブシステムを用いて、環境改善に関する方策の検討、あるいは作品の保存状態に基づいた公開や輸送の有無に関する判断などについて臨床的な試行を実施し、当該システムの効果的な運用方法を確立することを目的に研究を実施した。具体的には、 1)センサーサブシステムによって収集された収蔵庫や展示ケース内の湿度を確認しながら、調湿剤や除加湿器などの設置を含む必要な処置を講じ、保存環境の最適化を目指す行程を検証した。特に、平成館特別展示室に関して、集中的なシミュレーションを実施し、実際の環境改善までを一部実現するところまで行った。 2)センサーサブシステムによって収集された空気汚染濃度、梱包ケースに設置する振動・衝撃、生物生息状況を確認しながら、環境の最適化を図るための具体的な取り組みを検証した。 3)保存カルテ、症例カタログ、修理履歴、貸与・展示履歴を用いて作品の保存状態のレベルを判断し、移動や展示などの活用や、修理の必要性などに関する検討に対して、判断の最適化を図ることができるように、意思決定サブシステムを用いた取り組みを検証し、必要な要素が判断に反映されているかどうか確認した。 意思決定サブシステムを通じて行われた具体的な処置は、最適化管理サブシステムによってその後の経過観察を行い、問題の有無などを確認した。温湿度環境の改善、修理作品の選定などの具体的な業務において、意思決定サブシステム及び最適化管理サブシステムの有効性の検証し、実用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
センサーサブシステムに関して、2次元バーコードを修理作品に利用するにあたり、その内容について十分な理解に達するまでに時間がかかったため、センサーサブシステムの円滑な運用に時間を要したことが主たる理由である。この問題点はすでに解決策を見出し、改善の見込みが付いている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに平成24年度の研究を進め、包括的保存システムの完成を目指す。包括的保存システムが最大限の効果を発揮するためには、館内ですでに利用が進んでいる既存のデータベースシステム「ProtoDB」との連携を図り、保存修理に関するデータを他のあらゆるデータと関連付けることが必要である。最終年度では関連付けを拡張して、包括的保存システムの有効性を高めるつもりである。
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