研究課題
今までの研究で、南極海で2番目に高い海氷生産量を持つケープダンレー沖が未知の南極底層水の生成域であることを明らかにしてきた。本年度は、第52次日本南極地域観測隊に参加して、昨年度ケープダンレー沖に設置した係留系2系を回収し、新たに5系の系を設置した。一方、北極海では、アラスカ大学との共同観測によりチャクチ海の沿岸ポリニヤにおいて、長期係留による海氷・海洋データを取得した。これらのデータは南極海、北極海とも沿岸ポリニヤでは、今まで得ることがなかった高精度の海氷厚データと海氷・海洋同時取得データである。これらのデータは薄氷厚及び海氷生産量アルゴリズムの高精度化のための比較・検証データとして使用される。ケープダンレー沖の南極底層水に関しては、最新の非静水圧海洋モデルを用いることにより底層水形成を再現し、底層水の流動経路・流量を推定し、底層水の周期的流出のメカニズムを明らかにした。本課題により導出された海氷生産量をモデルの外力として使用したことで、高海氷生産により南極底層水が形成されるまでの過程を世界で初めてモデルで再現した研究となった。オホーツク海の沿岸ポリニヤにおいて、2種類のマイクロ波放射計SSM/IとAMSR-Eから過去20年間の海氷生産量を見積もり、海氷生産量を決める気象要因を明らかにした。さらに気象要素から精度よく生産量を推定しうる関係式(相関係数0.87)を導出し、過去35年で海氷生産量が10-15%減少していることを示した。海氷生産量の減少は、オホーツク海の低塩化と高密度水の減少を生み、北太平洋まで及ぶ中層循環を弱化させる。さらに、鉄分を含む物質循環を弱化させ、生態系にまで影響を及ぼす可能性がある。
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