研究課題
本年度は、初年度ということもあり、これまでの知見を総括し今後の観測航海を立案するためにシンポジウム「潮汐混合とオホーツク海・ベーリング海の物理・化学・生物過程」を5月22-23日に開催し、その成果を月刊海洋号外50号として出版した淡青丸KTO8-7航海(2008年5月)では黒潮続流域、及び、白鳳丸KhO8-2航海(08年7-8月)では北西太平洋・天皇海山列において乱流観測および本課題で新たに導入した硝酸プロファイラ観測、さらに鉄の観測を実施し、北西太平洋の外洋域で2000mまでの夏季の乱流強度の分布を明らかし、神武海山上での強い乱流を見出した千島列島海域については、2006/2007年観測データの解析を進めブッソル海峡で通常の1000倍以上の乱流の存在や、密度逆転から乱流強度を評価する手法が有効であることを実証したこの強い鉛直混合が、アムール川により陸から供給され、サハリンに沿ってオホニック海中層水に含まれて南下した鉄を表層にもたらす効果があることが明らかになりつつある。18.6年周期潮汐振動について、木の年輪データから再構成された300年間の北太平洋10年規模振動指数(Pacific Decadal Oscination)データに18.6年振動が統計的に有意に存在し、1日周期潮汐が大きい時期にアリューシャン低気圧が弱く中緯度中央太平洋高水温となることが明らかとなった千島列島付近の潮汐混合を大きくして18.6年周期で振動させた大気海洋海氷結合気候モデル実険では、ENSOに潮汐振動の影響が表れ、潮汐混合が強い時期に約6年遅れて赤道付近の表面水温が最小となることが示唆された千島列島という全球から見れば極めて限定されている局所的な鉛直混合の変動が、ENSOを通じて全球の気候に影響を与えうることが明らかになったことは、極めて重要な意味を持っている。
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