1.GhIP-chip解析による主たるシグナルパスウェイの転写因子の標的同定 5-FU、紫外線、X線照射などによるDNAダメージ時のp53結合配列をクロマチン免疫沈降法により濃縮後、タイリングアレイあるいは高速シーケンサーにより決定した。同時にヒストンH3K4me1およびK4me3、K36me3修飾部位を検出することにより、p53結合部位のヒストン修飾の違い、新規標的遺伝子の同定を進めた。新たに同定した遺伝子PHLDA3にコードされる蛋白はAktタンパク質の活性を抑制することからがんの進展に関与すると考えられる(Cell 2009)。 TGF-β刺激したHaCat細胞において、Smad2/Smad3が結合しているゲノム領域をChIP-chip法によって網羅的に明らかにし、さらに結合領域に共存する結合配列モチーフを探索したところ、Smad結合配列に加えてETS1およびAP-2の結合配列が有意に濃縮されていることを見いだした。従来TGF-βの標的と知られていたp21遺伝子座のsmad結合領域はその第1イントロン中に存在し、両者との協調関係を明らかにした(MCB 2009)。 2.次世代シーケンシングによる網羅的ゲノム解析技術の確立 ChIP-sequencing法への移行を進めた。現行プロトコールでは200塩基前後のDNA断片を電気泳動によって切り出し濃縮を行うため、シーケンスライブラリーに偏りを示す事例が見られており、引き続き検討中である。ヌクレオソームマッピング、オリゴヌクレオチドプールによる特定配列の捕捉に着手した。
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