研究概要 |
1)ChIP-sequencing解析による主たるシグナルパスウェイの転写因子の標的同定 1.シストローム解析 TGFβシグナルの解析としてHaCaT細胞におけるSmad4の結合領域をChIP-chip解析により同定したところ、およそ半数はsinad2/3結合部位と重なっており、AP-1結合配列が隣接して高頻度に認められた。 2.がんエピゲノム解析 大腸癌および肝細胞癌細胞株のMeDIP-chip/seq解析により同定したDNAメチル化領域について、質量分析による定量測定法を用いて臨床症例を解析した。肝細胞癌ではC型肝炎陽性例にメチル化異常が高い遺伝子が多く抽出され、通常増殖シグナルに抑制的に働く遺伝子群のメチル化が認められた。WntシグナルについてはSFRP4,RUNX3、rasグナル経路にNPR1,DUSP4,LOX,RRAD遺伝子のプロモータメチル化が認められた。 3.細胞分化モデル 脂肪細胞分化系(3T3-L1細胞)を用いてPPARγおよびRXRαの結合領域をChIP-chip法によって決定した。PPARγは自身のγ2プロモーターに結合し脂肪細胞特異的な転写誘導を行うほか、複数のヒストンメチル化酵素遺伝子が直接標的として同定された。SETD8の発現抑制により、H4K20モノメチル化修飾が減少し、脂肪細胞分化も抑制された。 2)ゲノム多様性に基づく制御配列の解析 制御領域と転写開始点の相互作用を検出するため、DNAダメージに対するp53結合をモデルとして、3Cアッセイ、ChIA(クロマチン相互作用解析)の導入を進めた。 3)配列変異解析技術の開発 合成オリゴヌクレオチドプローブライブラリーによる配列捕捉により、エクソン領域を含むゲノム配列を濃縮し、イルミナGAIIxにより50あるいは75塩基をペアエンド法により配列決定した。肝細胞癌および膵癌について腫瘍および非癌部の解析を行い、体細胞変異の同定を進めた。
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