研究課題/領域番号 |
20221010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浜窪 隆雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90198797)
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研究分担者 |
三好 元介 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (40345137)
井原 茂男 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (30345136)
望月 康弘 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (80282523)
岩成 宏子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (20176556)
内藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30045786)
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キーワード | プロテオミクス / 核内受容体 / 転写調節 / スプライシング / 核スペックル / 細胞周期 / 核小体 / 軟X線顕微鏡 |
研究概要 |
(1)WTAP;WTAPは申請者らが、RNAのプロセッシングを通して細胞周期を調節しているタンパク質として同定した(PNAS,2006)核内タンパクである。これまでに、HUVECおよびHeLa細胞について、抗体磁気ビーズ法によるタンパク質複合体(BCLF1,THRAP3,CBLL1等)を同定し、これらの特異抗体を作製し複合体解析、局在解析を行った。これらの相互作用タンパク質はWTAPの核スペックル構造への局在と関係しており、RNAスプライシングや安定性の調節により細胞周期の調節に関与することが示唆された(生化学会発表)。WTAPの特異抗体を用いて、核内で相互作用するRNAを同定する網羅的解析法(PAR-CLIP,mRNA-seq等)およびミニジーンによるスプライシング解析法をほぼ開発し、相互作用するRNA候補を多数同定した(論文投稿準備中)。 (2)LXRα;HepG2細胞において内在性LXRαのCHIP-seq,プロテオミクス、局在解析を行い、核小体における新規の調節機構を明らかにした(論文投稿準備中)。 (3)抗体磁気ビーズによる高感度プロテオミクス:HNF4αにおいて開発した手法を用いて、敗血症におけるPTX3(パターン認識自然免疫受容体)の複合体解析を行い、新規マーカーを発見した(Mol. Cell. Proteomics2012)。NETs構成タンパク質との相互作用の新知見を得た。 (4)イメージング技術の開発;Gタンパク質受容体を介したシグナル伝達を測定するFRETプローブを作製し、ケモタクシスのライプセルイメージング画像解析法(バックトレース法)を新規に開発し、方向探知機構におけるシグナルホットスポットの存在を見出した(論文投稿中)。MTMR6,9に対する抗体により複合体蛋白質を同定。ライブセルイメージングと画像解析によりオートファジー機構との関連を見出した(論文投稿準備中)。軟X線顕微鏡による細胞の3次元CT像の取得には、正確な回転軸および重層細胞培養法が必要であることが判明し、試作を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNAプロセッシングの解析技術がほぼ順調に進み、ミニジーン、CHP-seq,mRNA-seq,プロテオミクス等、候補遺伝子の同定やメカニズム解析も進んだ。論文発表にまだ少し手間取っている。ターゲテドプロテオミクス技術はほぼ完成し、核タンパク質のみならず血清や細胞質タンパク質、膜タンパク質相互作用解析に威力を発揮し始めている。ライブセルイメージングの解析技術開発が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
RNAプロセッシングに関与するタンパク質を数種同定し、抗体も取得した。また、PAR-CLIPなど結合部位を特定する手法やデータ解析技術もほぼ獲得した。これらの技術とデータをもとに、今後オルターナティブスプライシングの部位の認識機構の解析を開始する。また、細胞周期に重要な分子がスプライシングによって調節されていることを見出し、この機構についてさらに解析を進める。 高感度のターゲテドプロテオミクスの技術がほぼ完成されたので、LXRαを用いた網羅的ダイナミックプロテオミクス解析を試みる。本法は当初より計画していたが、ノイズとの区別が困難で難航している。周辺データが進んだため、解析が可能となってきている。イメージング解析技術も進んだため、今後ライブセルイメージングの手法を定量解析につなげ、ダイナミックバイオロジーの分野開拓を試みる。
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