研究課題/領域番号 |
20223004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白波瀬 佐和子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00361303)
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研究分担者 |
盛山 和夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50113577)
ホリオカ チャールズ・ユウジ 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90173632)
杉野 勇 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (80291996)
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キーワード | 少子高齢化 / 階層格差 / 世代間格差 / 世帯変動 / 公共性 |
研究概要 |
平成23年度に実施した研究は大きく4つに分けることができる。 第一に、2010年8月に実施した「中高年者の生活実態に関する全国調査」(以降、中高年調査)で協力いただいた方6,442人うち、追跡調査の承諾を得た3,525人に対して、2012年2月に「中高年者の生活実態に関する継続調査」(以降、継続調査)を実施した。同調査の主な調査内容は、世帯や所得、資産における変化(2010年8月以降)、社会的関係資本の保有状況と変化、社会保障や公共観に関する意識の変化である。追跡調査への回答者は2,929人(回答率83.1%)であり、現在、継続調査の回収データのクリーニング作業に取り組んでいる。 第二に、中高年調査データの分析を進めた。主な分析テーマは、中高年者の所得格差、経済的資産およびケアの世帯内移転、支援ネットワークの公私分担、社会関係資本保有量の測定と保有パターン、中高年者の希望意識、である。大学院生や若手研究者を中心とする実証分析ワーキング・グループを中心に研究会を重ねた。 第三に、研究協力者のYoung-Mi Kimと進めてきた日・韓・台の男女賃金格差に関する分析を進め、論文"Understanding Gender Earnings Gap in East Asia: Effects of State Policies, Employment Practices, and Earnings Structure"を完成させた。本稿で明らかになった点の1つに、日本の中高年女性を中心としたパートタイム就労に伴う低い賃金が、韓国と台湾に比較しても目立つことであった。 第四に、平成22年度に実施した「国民生活基礎調査」(厚生労働省)データ分析を元に、再分配効果と中間層に関する研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度の研究計画において中心的なことは、2010年度に実施した大規模全国調査(中高年調査)をベースに中高年者を対象とする追跡調査を実施することであった。2010年の中高年調査協力者の半数近くが、追跡調査への協力を表明し、2012年2月に実施した調査への回答は8割以上であった。そこでは、大震災による人生観の変化についても質問しており、極めて興味深い結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
追跡調査のデータクリーニングに少々時間がかかっているが、頻繁に検討会を設け2010年中高年調査データとのマッチング作業等進めていく。さらにマクロデータの構築のみならず、ミクロな視点、地域格差の観点を本研究に盛り込むため、平成24年度夏から秋にかけて、三重県南部の過疎地域への面接調査を予定している。平成24年度は本研究の最終年度なので、学会報告やワーキング・ペーパーの執筆、さらには学術雑誌や書籍としての刊行を目指す。特に、本研究の次なる発展にむけて、国内外の専門家を招聘して国際ワークショップの開催を予定している。
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