研究概要 |
宇宙論的計算と化学進化モデルを組み合わせ,ライマンα輝線天体のモデルを構築した。特に,銀河内の各サブストラクチャーの星形成史・化学進化を独立な事象として扱い,スペクトル生成コード'PEGASE'を用いてSEDの計算を行った。ライマンアルファ光度については,ダスト吸収の効果も考慮した。結果として,ライマンアルファ輝線天体には,大きく2種類のものが存在することが明らかになった。一つは比較的質量が軽く(10^<10>M程度),銀河進化の極初期の星形成フェーズにある天体であり,もう一つは質量が重く(10^<10-12>M),初期の星形成期を終了した後,ガスが降着して星形成を誘起する天体である。前者をType1LAE,後者をType2LAEと名づけた。また,これら2つのタイプで空間相関や予想される色光度を計算した結果,Type2LAEは近赤外の波長で観測される天体と空間相関がよく一致する事がわかった。 また,これまでの粒子法流体力学(SPH)をベースにした輻射流体力学コードをツリー構造で加速することに成功し,新たな輻射流体コードSTARTを開発した。このコードによって,これまで正確に扱えなかった散乱光子を近似なく扱えるようになった。
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