研究課題
本研究の目的は半導体の電子正孔系および励起子系を対象に、精緻なレーザー分光手法を駆使した実験と、電子相関を取り入れた理論研究を密接に連携させ、量子多体系としての物質相とその集団励起および量子秩序形成ダイナミクスについて実験(東大)と理論(阪大)を連携させて研究を進めることであった。以下に研究項目別の成果をまとめる。1.準熱平衡励起子系の相図解明:(東大)ヘリウム3冷凍機を用いて、励起光照射下においても0.3K台の低温を確保した上で、亜酸化銅結晶におけるパラ励起子を3次元歪トラップに蓄積することで量子多体系の性質が顕在化する励起子BEC相境界近傍まで到達した。トラップからの微弱発光の高感度検出による発光イメージ法を確立し、量子カスケードレーザーを用いたCWライマン分光法による定量評価法を開発した。(阪大)準熱平衡相図を決定するために、高密度弱結合領域から低密度強結合領域までを統一的に記述できる動的平均場理論を開発した。連続模型による解析手法と長距離クーロン相互作用の取り入れ方を検討し、隣接サイト間相互作用を扱う手法を開発し数値計算を行った。2.量子縮退しか励起子系の集団励起とそのコヒーレンスの検出:(東大)亜酸化銅パラ励起子のAuger係数の値とその温度依存性を決定し、低温で非弾性衝突が発散する量子力学的特徴を示すことを見出した。(阪大):励起子間有効相互作用のボゾン化理論を再考して、励起子気体相での光学応答の自己無撞着理論を構築し、光学応答の数値計算を進めた。半導体ブロッホ方程式理論との違いを解明した。3.電子正孔系の量子秩序形成の動的理論(阪大):低次元系での多励起子状態における励起子間Auger散乱断面積を数値的に評価した。低温での「量子散乱領域」の理論研究を開始した。東大グループの実験結果との比較を行った。
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