研究課題
本研究計画では、新しく発明してJST-CRESTで5年間開発してきた立体光電子顕微鏡StereoPEEMや、その過程で新しく発明された楕円メッシュ二次元分析器を完成して、顕微鏡機能を使って試料の拡大像を観測し、微小領域だけからの二次元光電子分光を行ない、微小領域の電子状態と原子構造を立体的に観測することを目的としている。平成21年度においては、前年度に引き続き、1. 楕円メッシュの高精度作製法の開発、2. 立体光電子顕微鏡StereoPEEMの開発の継続とテストデータの取得、3. 楕円メッシュ二次元分析器の開発の継続とテストデータの取得、を行うことを目標として研究を実施した。1. 楕円メッシュの高精度作製法の開発前年度は「楕円全体の形の精度」を高めるため、3次元高精度加工機を購入し、テスト部品の試作では10μm程度の精度での加工に成功した。今年度は加工方法について、これまで行ってきた金網を型に押しつける手法の他に、機械加工で曲面に穴を開ける手法を試みた。時間はかかっているが試作は順調に進んでいる。2. 立体光電子顕微鏡StereoPEEMの開発の継続とテストデータの取得前年度までに、初段レンズを装置に組み込み、収束X線源が取り付けられてテストできる状態になっているが、X線を集光するミラーの反射率が悪くて実験が出来ない状態が続いている。反射率を高めるために、多層膜ではなくて湾曲結晶を検討している。3. 楕円メッシュ二次元分析器の開発の継続とテストデータの取得装置の設計を行う実験補助者を雇ったため、真空槽の設計とレンズ部品の設計が終わり、発注して組み立ても終わった。初段レンズのみによる予備的な実験データが得られた。
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