研究課題
平成20年度には、クロアチア、ベレビト山地において野外調査およびボーリング調査を行った。また、国内では岐阜県大垣市赤坂地域において同様の野外調査およびボーリング調査を行った。いずれも、古生代未に起きた2段階大量絶滅事件の中の最初のイベントであるG-L境界事件が、グローバルな寒冷化が原因で起きたことを示す証拠を保持していると考えられる地層試料である。特に研究代表者のグループは世界に先駆けて中期ペルム紀Guadalupianの末期に当時の海水中の炭素同位体比が異常に高くなる期間が500万年以上続くことを解明しつつあり、当時の海洋における生物基礎生産量の増大およびそれに伴う大気中の二酸化炭素の大量消費が起きたこと、そしてその結栗として温室効果の低下によるグローバルな寒冷化が起きたと推定している。代表者はその古環境変動における意義を強調するため、この現象を上村事件と名付けた。当時の赤道域に光合成共生を利用して繁栄した、フズリナやサンゴに加え、特殊な巨大二枚具化石(Alatoconchidae)群集の消長パタンも、この時期に未確認であった寒冷化事件の発見で整合的に説明可能と考えられる。本年度に採取した岩石試料は、クロアチアで採取した物も含め既に研究室内で多様な化学分析、とくに同位体比測定に供されている。同様な炭素同位体変動パタンを、当時の地球の反対側に位置していたクロアチアにおいても確認しつつあり、上村事件の汎世界的影響の大きさを証明しつつある。これらの成果は、下記の11件の学会講演(国外5件、国内6件)および7編の学術論文(すべて査読付きの国際誌)として発表された。また次年度以降の研究を進めるための予察調査を中国南部において行った。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (10件)
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