研究分担者 |
網塚 浩 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40212576)
四竃 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30196365)
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20281983)
芳賀 芳範 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 主任研究員 (90354901)
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研究概要 |
本研究課題の最大の目的である「東北大金研にアクチノイドの研究拠点を形成すること」は既に達成されている。今年度は、多くの研究者の興味を集めている典型的ウラン系化合物に関する喫緊の問題の解決を目指し、それらの合成と種々の物性計測を行った。その結果、以下の成果を得た。 (1)強磁性超伝導体UCoGeに対し、通常の超伝導体とは異なり下部臨界磁場(従ってマイスナー状態)が存在しないこと、大きな1軸性異方性を持つスピン揺らぎが存在することを明らかにした。これらは、強磁性と超伝導の共存の謎を解くヒントとなるものである。また、同様の強磁性と超伝導の共存を示すUGe_2において、高圧下物性測定を行うことにより、3重臨界点の位置を同定した。 (2)隠れた秩序を持つURu_2Si_2に対し、マクロ及びミクロプローブを用いた詳細な実験(中性子散乱実験や共鳴X線散乱実験など)を行った結果、提案されている理論モデルに対し、いくつかの制限を与えた。特に、隠れた秩序相において、回転対称性が破れていることを指摘した。これは、これまでに予想されていなかった質的に新しい情報である。 (3)ウランを含む化合物(UPd_2Si_2,U_2PdSi_3,UPt_2Si_2,UBe_<13>,UCu_2Si_2,UCuPO,U_2Zn_<17>等)の合成・単結晶育成を行い、その磁性あるいは超伝導性を明らかにした。例えば、重い電子系超伝導体であるUBe_<13>の超伝導混合状態における磁化が初めて明らかにされた。 (4)超ウラン元素を含む化合物(AnPd_5Al_2)を合成し、その磁性と超伝導特性を明らかにした。次年度は、(1)の成果をもとに、UCoGeの超伝導発現機構の解明に挑戦する。また、(2)の成果をより発展させ、URu_2Si_2の隠れた秩序相の本質に迫りたい。
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