研究課題/領域番号 |
20224015
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30170773)
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研究分担者 |
網塚 浩 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40212576)
四竈 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30196365)
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20281983)
芳賀 芳範 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90354901)
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キーワード | 物性実験 / アクチノイド / 重い電子系 / 磁性 / 超伝導 |
研究概要 |
本研究の最大の目的であるアクチノイド研究拠点の形成は既に達成されている。今年度の目的である「各物質固有の問題点の解決を図ること」に対し以下の成果を得た。(1)強磁性超伝導体UCoGeに対し良質単結晶を用いた角度分解核磁気共鳴実験を行い、強磁性秩序変数の量子揺らぎ(Ising的な強い異方性を持つ縦磁気揺らぎ)が超伝導ペアー引力を担っていることを明らかにした。これにより最大の懸案の1つであった「強磁性超伝導の発現機構の解明」に決着をつけることができた。(2)URu2Si2の極めて純度の高い試料を作製し、常圧における隠れた秩序相から高圧反強磁性相にわたって伝導特性を系統的に調べた。その結果、隠れた秩序相でのみ電気抵抗に非フェルミ流体挙動が存在すること及びその係数の大きさが超伝導転移温度と比例関係にあることを見いだした。(3)URu2Si2についてSPring-8及びKEK-PFの放射光X線回折実験を行い、隠れた秩序に伴う結晶対称性の低下が無いことを高い精度で確認した。また、UBe13の異方的超伝導状態における熱平衡磁化を初めて測定し、混合相内に磁気的異常が存在することを明らかにした。さらに、UPd2Si2の非整合反強磁性の圧力効果を調べ、磁場-温度-圧力相図を作成するとともに、5f電子系特有と思われる遍歴・局在双対性の振る舞いを観測した。(4)強磁性転移を示すスクッテルダイト化合物NpFe4P12およびEuFe4As12の57Feメスバウアー分光実験を行い、Feサイトの電場勾配と内部磁場の寄与を解析した。さらに151Euメスバウアー効果実験により、EuFe4As12がEu2+とEu3+の混合原子価状態であることを確認した。(5)バナジウム電池のプロトタイプとして1.5V-1Ahタイプを作成し、アクチノイドのウランあるいはネプツニウムの固体塩電池が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
主要目的であった「東北大金研にアクチノイドの研究拠点を形成すること」は既に達成されている。また、最大の懸案であった「遍歴電子強磁性体UCoGeにおける超伝導発現機構の解明」についても、問題を解決するに至った。当初は、超伝導発現機構の解明のヒントを得ることができれば十分と考えていたが、その解明に至ったことは予想以上の成果である。
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今後の研究の推進方策 |
順調に研究が進展しているため、これまでの計画を推し進める。
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