研究課題
本研究計画3年目の今年度は、サファイア基板に40nm厚の銀薄膜を蒸着したフォトカソードをベースとする超短パルス電子銃の開発を行った。また本年度に購入した励起用Nd:YLFレーザー、フェムト秒再生増幅器システム、および第3高調波発生器を前年度に購入した一体型フェムト秒レーザーと組み合わせ、超短パルス電子銃の励起源として整備した。これらを用いて、開発した電子銃の性能評価実験を開始し、ビーム強度に関しては所期の性能を上回る結果を得た。パルス幅の実時間観測に関しては、CCDを用いた計測の準備を進めている。こうした電子銃開発と並行して、パルス電子線が標的分子と衝突するまでの飛行時間の間に電子間反発効果によりパルス幅とエネルギー幅が如何に変化していくかを把握するためのシミュレーションプログラムの開発を行い、詳細な知見を得た。他方、本研究の実験結果の解釈に理論的裏付けを与えるため研究を進めていたレーザー電場下の電子線コンプトン散乱の理論の基礎開発を終了した。さらに、平成23年度以降の2年間で図る本研究具現化の試みを比較的容易にするため、平成20年度に開発した球型アナライザーを同形のまま2.2倍にスケールアップした超大型(e,2e)電子分光器(平均軌道半径220mm)の開発に着手し、平成23年5月末の完成を目指して作業を進めている。以上のように、研究実施計画に則り、本研究を推進するための基礎固めを概ね所期の目標通りに完了した。なお、平成23年度早期にオプティカルパラメトリックアンプシステムを購入することにより、本研究で開発する装置はシステムとして完成し、本装置を用いて電子線コンプトン散乱の時間分解反応顕微鏡実験を開始する。
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http://www.tagen.tohoku.ac.jp/modules/laboratory/index.php?laboid=42