研究課題
本研究では、(1)温度によってらせん方向を可逆的に制御できるキラル液晶反応場を構築する。(2)らせん制御された液晶反応場を用いて、共役ポリマーの高次らせん構造を制御する。(3)次に、光応答性部位をもつキラル化合物を適用して、光スイッチング機能をもつキラル液晶反応場を構築する。これらの研究を通じて、温度や光による共役ポリマーのらせん構造の制御と、円偏光発光などの新機能の発現を目指す。実施した研究内容は以下の通りである。1.フェニルシクロヘキシル系等モル混合液晶に、エステル型メソゲンコアを有する液晶を加えて、高温領域(42℃~200℃)までネマチック相を示す新規母液晶を調製した。2.この母液晶に、温度依存性が異なる二種類のキラルドーパントを添加して、キラルネマチック液晶(N^*-LC)を調製した。この液晶は低温では左巻き、高温では右巻きのN^*-LC相を示し、温度によりキラル反転を起こすことを確認した。3.本N^*-LCにモノマーとしてビチエニレン誘導体とフェニレン誘導体、重合触媒としてパラジウム錯体を加えて、Stilleクロスカップリング反応により芳香族共役コポリマー[ポリビチエニレンフェニレン誘導体]を合成した。4.低温(70℃)および高温(110℃)で合成したポリマーは、それぞれ負および正のバイシグネート(bisignate)なコットン効果を示し、ポリマー鎖が互いに左巻きおよび右巻きにねじれたヘリカルπスタック構造をとることを見出した。5.次に、軸不斉キラル部位と光応答性部位を結合させたキラル化合物を合成した。これをドーパントして、シアノビフェニル系母液晶に加え、新規N^*-LCを調製した。標準液晶を用いた接触試験により、らせんの向きを判定した。紫外光および可視光の照射によりキラル反転が可逆的に起こることを確認した。
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