研究課題/領域番号 |
20226001
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中嶋 一雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80311554)
|
研究分担者 |
宇佐美 徳隆 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20262107)
藤原 航三 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (70332517)
沓掛 健太朗 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00463795)
森下 浩平 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00511875)
|
キーワード | 結晶成長 / シリコン / 太陽電池 / 多結晶 / 結晶欠陥 / 浮遊キャスト成長 |
研究概要 |
本研究では、結晶成長という動的条件下でSi多結晶の粒界、転位、粒方位が変化し形成していく未知の過程を詳細に理解し、浮遊キャスト成長法を基本型として、高品質・高均質Si結晶の成長技術を開発することを目標としている。 具体的には、1)結晶成長の動的過程における固液界面形状の形成メカニズム、2)デンドライト結晶の成長メカニズム、3)多結晶に固有の結晶欠陥(転位、亜粒界、双晶等)発生メカニズムの研究で、学術的インパクトの大きい新たな知見が得られた。これらの知見に基づいて、新しい概念の結晶成長装置を設計・導入し、Siバルク多結晶の理想的な組織制御を実現した。太陽電池メーカの協力による太陽電池特性の評価においても、世界トップレベルの高い変換効率を達成し、基礎・応用の両面で大きな成果が得られた。 メカニズムの解明では、Si結晶の成長で現われるファセットの形成が成長速度と深く関与していることを見出した。また、Si多結晶の成長過程において転位が発生するメカニズムについても大きな発見があった。すなわち、(1)転位がランダム粒界から発生する、(2)成長過程に転位が増殖する、(3)片方の結晶粒に偏在する、ことを詳細な観察により明らかにした。さらに、デンドライト結晶を発生させるための種結晶として単結晶を用いるといった新規手法により、転位の少ない巨大な結晶粒が得られることを明らかにした。この結果は、種結晶の利用とデンドライト結晶の利用の最適解を見出すための重要な知見であり、将来の高品質化技術の方向を暗示している。 浮遊キャスト成長法により作製したSiバルク多結晶から切り出したウェハ(46mm角)を、太陽電池メーカに提供して太陽電池の作製を依頼し、特性評価を行った。この結果、多結晶組織を精度よく制御すると変換効率が大きく向上し、浮遊キャスト成長法がSi多結晶の高品質化と太陽電池の高効率化に有効であることが示せた。
|